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北海道大学は8月6日、南保明日香氏(同大大学院医学研究院准教授)らの研究グループによって、がんの原因となる『EB(Epstein-Barr)ウイルス』に感染すると、細胞が放出するエクソソームの量が増加し、特定のマイクロRNAがエクソソームに高度に濃縮されることを解明したと発表した。
同研究結果は、「Cancers」誌に掲載されている。
『EBウイルス』は、ヘルペスウイルスの一種であり、成人するまでに95%の人が感染するとも言われている。また、同ウイルスは、がんを引き起こすケースがあることが知られている。
これまで、『EBウイルス』に感染した細胞が「がん化」することは、『EBウイルス』の特定の遺伝子が原因となっていると報告されていた。
さらに、近年では、『EBウイルス』に感染した細胞がエクソソーム(微小な粒子)を放出し、エクソソームを取り込んだ他の細胞は、その性質が変わることも明らかになってきている。
同研究グループは、これまでに、『EBウイルス』が感染した細胞が放出するエクソソームが、ウイルスが感染していない上皮細胞に取り込まれると、細胞表面に発現するタンパク質の量や、細胞増殖能力を増加させることを発見していた。
今回の研究では、『EBウイルス』が引き起こす疾患の発症におけるエクソソームの役割の詳細について解析を実施。
バーキットリンパ種患者から単離されたEBウイルスに感染した(あるいは感染していない)培養細胞から放出されたエクソソームを精製。次世代シーケンシングによって、このエクソソームに含まれる核酸(マイクロRNA)の種類を網羅的に解析し、感染の有無間で比較した。
解析結果からは、『EBウイルス』に感染した細胞において、エクソソーム放出量が増加していること、また『EBウイルス』に感染した細胞から放出されるエクソソームには、特定のマイクロRNAが高度に濃縮されていることが判明。
同研究グループでは、EBウイルス関連がんの発症における、エクソソームが媒介する「マイクロRNA」の機能について検証を進めれば、疾患発症メカニズムのさらに詳細な解明につながることが期待されるとしている。
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