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筑波大学は9月28日、 濱田理人氏(同大医学医療系助教)、Kaushalya Kulathunga氏(ヒューマンバイオロジープログラム博士課程)、三輪佳宏氏(同講師)、高橋智氏(同教授)、Bernd K. Fleischmann氏(独Bonn大学教授)の研究グループによって、「動脈硬化」の病変部に蛍光タンパク質「iRFP」を発現させて、病変部が光るマウスを開発したことを発表した。
同研究成果は、「Scientific Reports」で公開された。
モデル動物を使用した解析を行うことによって、「動脈硬化」について様々なことが明らかになっている。
しかし、実験動物による「動脈硬化」の病変部の評価においては、動物の「安楽死」が必要となっており、病態を経時的に評価することはできなかった。
血管を摘出するための時間的・技術的な問題もあった。
今回の研究に先立ち、研究グループは2014年に、蛍光タンパク質「iRFP」を全身の全ての細胞に発現するiRFPマウスの作製に成功。
iRFPは、生体を透過する近赤外光の波長を持っているのが特徴だ。
このiRFPマウス骨髄細胞を用いた移植実験により、血液細胞のみでiRFPを発現する動脈硬化モデルマウスを作製した。
このマウスに動脈硬化誘導食を8週間与え続け、iRFPの蛍光を生体イメージングシステム(IVIS)により観察。
その結果、マウスの胸部から腹部にかけてiRFPの蛍光が観察されたという。
また、マウスの大動脈を取り出し、脂肪染色を行い、動脈硬化病変部を観察した結果、iRFPの蛍光と脂肪染色で染まる場所が一致していることが判明。
さらに、動脈硬化誘導食の量を調整することにより、経時的かつ動脈硬化誘導食の量に依存してiRFPの蛍光の量が変化することがわかったという。
これは動脈硬化の病態の変化を、マウスを殺さずにiRFPの蛍光のみで判断できることを意味する。
同研究グループは、今回の技術をマウスに活用すれば、マウスを安楽死させることなく、動脈硬化に対する薬剤の効果を調べる治療法開発や、動脈硬化自体の発症機序を調べる基礎研究などに役立つものとして期待されるとしている。
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