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米ペンシルベニア州立大学がん研究所の研究グループによって、米国でがんと診断された患者は、そうでない人に比べて自殺リスクが4倍以上に高まる可能性があることが明らかになった。
同研究成果は、詳細は「Nature Communications」1月14日付け(電子版)に掲載された。
同研究グループは、全米のがん患者登録プログラムのデータから、がんが正常な組織にまで増殖している浸潤性のがんと診断された患者(期間:1973~2014年、患者数:865万1,569人)を対象に、後ろ向きに分析した。
分析結果からは、がんと診断された患者の「0.15%」が自殺により死亡しており、この発生率は一般集団と比較して、「4倍以上」に上っていたことが明らかになった。
がん患者の自殺リスクは、白人男性で最も高かった。特に、若いうちに診断された患者で高リスクとなった。
部位別では、肺がん、頭頸部がん、精巣がん、膀胱がん、ホジキンリンパ腫の患者で自殺リスクが高まっていた。
また、ほとんどのがん種の患者では、自殺リスクは診断から5年以内に低下したものの、ホジキンリンパ腫と精巣がんの患者では高いままか上昇を続けたことも明らかになった。
同研究グループでは、米国ではがんは主な死因の一つではあるが、ほとんどの患者は、自殺を含むがん以外の原因で死亡していると指摘。
がん患者は、診断や治療による苦痛、経済的なストレスから「抑うつ状態」に陥るケースも多く、結果的に自殺につながる可能性があるという。
近年、がんの治療は著しく進歩した一方で、患者の精神面については注目されてこなかったことも指摘する。
また、今回の研究では、「がん患者が診断された年齢」と「がん種」が重要である可能性が示された。
例えば、若いうち(50歳未満)に発症した白血病などの血液腫瘍・精巣がんに対する一部の治療では、患者の生殖能力が低下する可能性がある。
これは、長期的に自殺の原因の一つになりうるという。
一方で、50歳を超えてから肺がんや前立腺がん、大腸がんと診断された人は、残りの生涯にわたり自殺する危険性が高いとしている。
同研究グループは、今回の結果について、がん治療には包括的なアプローチが必要であることを示す成果だと指摘している。
これによって、がん患者の抑うつ状態や精神的ストレスをスクリーニングする方法や、そのタイミングについてガイドラインを作成する際に役立つことも期待できるとしている。
前立腺がんや肺がん、白血病、リンパ腫などの一部のがん患者を対象に、自殺予防策を強化することも期待されるという。
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