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2020年の東京パラリンピックでの活躍を1つの大きな目標として、国内の障がい者スポーツの活動が活発になっている。
一方で、肢体に不自由はなくうつ病や統合失調症などを抱える精神障がい者は身体障がい者スポーツには参加できず、身体・知的障がい者のような国際団体・国際大会もない。
そのためパラリンピックへの出場資格もなく、国内においての活動の場はわずかだ。
そんな中でも国内唯一の精神障がい者スポーツの統括団体がある。フットサルの日本代表だ。
今年1月下旬、大阪府堺には同市で2月27日に開催される世界初の精神障がい者スポーツの国際大会に出場するために全国から選抜された12人が集まった。
男女混成の精神障がい者のフットサル日本代表が強化合宿を行ったのだ。
国内の精神障がい者数は約320万人で、その1割に当たる約32万人が入院しているといわれる。
長年、精神障がい者の患者が病院を出てスポーツをすることへの理解は乏しかった。
しかし、ここ数年でフットサルチームは急増しており、今では全国1,500人以上の精神障がい者がフットサルの競技に取り組んでいる。
第1回となる記念すべき今大会の出場国は日本、イタリア、ペルーだ。NPO法人日本ソーシャルフットボール協会(JSFA、岡村武彦理事長)が主催する。
近年、スポーツは幻覚や気分が沈むなどの症状を改善する効果があると報告されており、同法人では精神医療従事者らが2013年に設立し、精神障がい者が体を動かす環境づくりに力を入れてきた。
今回の代表合宿に招集されたメンバーの中には、社会人になって精神科で社会不安障害や対人恐怖症と診断を受けた後、2年前から精神障がい者のフットサルチームに入って活動してきた選手がいる。
小学生からいじめを受けて高校生の頃には不登校になった過去があるが、現在は週2回の練習の中でチームメートとの会話も増え、人への恐怖心がなくなったという。
その効果は精神障がい者の就労率の改善にも表れてきた。同選手は、今ではアルバイトに就いており、近くには本格的な就職活動も始める予定だという。
また精神障がい者の就労率は2割程度といわれる中で、JSFAのフットサルチームでは半数以上が働いている。
またチーム内には結婚し、子どもが生まれ、家族で生活できるようになった選手も2人いるという。
精神障がい者の全国規模の大会が行われたのは2001年のバレーボールにまで遡る。
それから12年後となった2013年に精神障がい者スポーツで初めての団体としてJSFAが設立され、昨年10月にはフットサルの全国大会が初めて開催された。
さらに2013年に第1回の精神障がい者国際シンポジウムが開催されて、世界中で盛んなサッカーやフットサルをモデル競技として国際大会や国際団体を立ち上げることが必要だとされ、今月の大阪での世界初のフットサル国際大会開催につながった。
今大会での日本代表チームの活躍がきっかけになって、今後の精神障がい者スポーツが普及していくことにも期待したい。
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