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新潟大学は5月2日、上野将紀氏(同大脳研究所システム脳病態学分野特任教授)、吉田富氏(米シンシナティ小児病院准教授)らの研究グループによって、脳と脊髄を結ぶ「皮質脊髄路」の中に多様な神経回路が存在することを発見し、それらが運動動作をコントロールする『神経地図』としての働きを示すことを明らかにしたことを発表した。
同研究成果は「Cell Reports」に掲載されている。
「皮質脊髄路」は、大脳皮質と脊髄を結ぶ神経回路であり、特に、自発的に運動を行ったり、複雑で巧みな運動動作をコントロールしたりする際に重要な神経回路として知られている。
この神経回路は、大脳皮質にある神経細胞が神経の軸索を伝って、脊髄、そして筋肉へと指令を送り、運動をコントロールすると考えられている。
この「皮質脊髄路」の存在こそ知られているものの、神経回路がどのような種類の神経細胞の接続によって形成し、複雑で絶妙な運動動作を生み出すことが可能になるのか、その接続様式や動作原理は明らかにされていなかった。
同研究グループは、げっ歯類であるマウスの皮質脊髄路をモデルとして、最新技術(遺伝子改変技術や神経トレーサー、電気生理学的解析、神経活動の制御技術、3次元行動解析など)を駆使して、皮質脊髄路の詳細な構成と、その動作原理を調査。
その結果、運動機能を担っている皮質脊髄路の中に、これまで明らかになっていなかった多様な接続を持った神経回路が内在していることを発見した。
それらは回路ごとに存在する場所が異なり、それぞれの神経回路が多様な性質を持つ神経細胞と結ばれ、それぞれが特異的な遺伝子を発現。
また、運動・感覚回路との接続様式には相違が見られ、興奮性・抑制性の神経伝達物質の種類が異なっていた。
これらの結果から、皮質脊髄路は大脳皮質と脊髄をつなぐ単一で単純な回路ではなく、別々の働きを持った『多様な神経回路の集合体』として、巧みに運動動作をコントロールしていることが明らかになった。
今回の研究成果は、皮質脊髄路の脱落に伴って運動機能が障害される様々な神経疾患(脳卒中や脳脊髄の損傷など)において、どのような回路の再建が必要であるかを「神経地図」として示唆するもの。
同研究グループでは、今後、リハビリテーションや神経回路の再生技術を用いて、今回見いだされた神経回路をどのように再建するのか、その技法の開発が期待されるとしている。
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