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近年、様々な病気が、細胞内の「タンパク質」の間での『異常な相互作用』によっても引き起こされることが分かってきている。
そのため、創薬においては、この『異常な相互作用』を標的とした阻害化合物を発見するための研究が世界各国で進んでいる。
一方で、製薬会社ではロボットを活用するなどで数百万個という化合物を手当たり次第に作り出して実験による試行錯誤を重ねるため、創薬には膨大な費用と時間が掛かっている。
昨年10月に、最先端の研究による新薬開発を目指す「大分大学発」のベンチャー企業「株式会社大分大学先端医学研究所」が誕生した。
資本金約1億円で、「創薬研究の推進による九州全体への波及効果」が高く評価されたことでFFGベンチャービジネスパートナーズや大分ベンチャーキャピタルが出資した。
FFGベンチャービジネスパートナーズは、福岡銀行などを傘下に持つふくおかフィナンシャルグループだ。大分ベンチャーキャピタルは大分銀行系のベンチャーキャピタルだ。
昨年2月に、九州の大学や企業、銀行、経済団体が支援する『九州・大学発ベンチャー振興会議』を発足し、「九州の創薬の拠点に」と期待が高まっていた。今回は、28の提案の中から同社が事業化第1号に選ばれた。
同社の人件費・試薬代などで、年間1億円のコストが掛かると見込まれるが、売り上げを伸ばし、7年以内の株式公開を目指すという。
タンパク質の「どこにどう結合すると治療効果が出るのか」の解析結果を基に、化合物を設計・合成する技術を研究している小路弘行氏(同大医学部特任教授)は、狂犬病のウイルス増殖の阻害薬に生かせる化合物を約5ヶ月で特定。現在、特許取得を目指している。
狂犬病は、世界で年間7万人が感染して死亡しているとされる。
同技術を活用すれば、少ないコストでかつ短期間に医薬品開発に適う化合物が作成できるという。
また、難病の原因を研究している九州内外の大学との連携も開始しており、新薬開発を目指す製薬会社・大学に、「オーダーメイド化合物」を提供することも可能という。
同技術を駆使して、エボラ出血熱の原因となるエボラウイルスの増殖、がんの増殖などの抑制薬や、難病の特効薬の開発などにも期待がかかる。
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