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医療用医薬品などの製造・販売を手掛ける大日本住友製薬(本社:大阪府大阪市中央区、多田正世社長)の施設で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を培養、操作し、変化させた細胞を医薬品として生産する「再生・細胞医薬製造プラント」(SMaRT)が3月1日、大阪府吹田市に完成した。
同社によると、iPS細胞を使う再生医療製品の「商業用の製造拠点」は世界初で、今後、早期に生産体制を確立し、治験向けの細胞などを生産していく方針。
「再生・細胞医薬製造プラント」(SMaRT:Sumitomo Dainippon Manufacturing Plant for Regenerative Medicine & Cell Therapy)は、鉄骨2階建て(延べ床面積2900平方メートル)で、同社の研究所敷地内に約36億円で新設した「商用iPS薬」の生産拠点施設。
微生物や菌による汚染、微粒子の混入を防ぐために、従来の研究目的の施設よりも気密性を高めた他家iPS細胞由来の再生・細胞医薬品専用の商業用製造施設で、生産する細胞の種類ごとに3ゾーンに分けられ、人が作業できる設備と自動培養装置を備える。
各ゾーンでは、それぞれ年間数百人を治療できる量の細胞を生産できるという。
同施設には、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)などから供給されるiPS細胞が運ばれ、京都大iPS細胞研究所や理化学研究所と産学連携で研究している「網膜色素上皮細胞(加齢黄斑変性)」、「ドパミン神経前駆細胞(パーキンソン病)」、「立体神経網膜(網膜色素変性)」、「神経系前駆細胞(脊髄損傷)」の4つの疾患向けに臨床試験(治験)薬製造と初期の商用生産を行う。
4つの再生医療製剤は、いずれも他家iPS細胞を由来とするもの。
同社では、収益増のために再生医療事業の今後の主力事業の1つにしたい考え。2030年には、同分野で2千億円の売上高を目指している。
多田社長は「一番手が圧倒的に優位にたてる」としており、今回の商用生産施設完成をきっかけに、再生医療の分野で重要なポジションを占めていきたいとしている。
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