「胃がん手術」前後の運動トレーニングで術後の合併症予防か
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胃がん手術後、サルコペニアやそれに伴う合併症に悩まされる人は多い。そんな中、2017年9月に東大病院とライザップが共同で「運動・栄養介入による胃がん周術期のサルコペニア予防効果に関するランダム化比較試験」を開始した。ここでは、胃がん術後のサルコペニアや合併症問題や同試験の詳細について解説していく。
胃がん手術前後の運動とサルコペニア・合併症の関係性についての研究
2017年、東京大学とライザップ株式会社が共同で、「運動・栄養介入による胃がん周術期のサルコペニア予防効果に関するランダム化比較試験」を開始することを発表した。その後、組入れ開始日を9月1日として、ランダム化比較試験をスタートしていく予定だ。
今回の研究では、「胃がん手術」前後に筋肉トレーニング中心の運動を行い、さらにタンパク質を適切に摂取することで、サルコペニア・術後の合併症などへの予防効果があるのかを検証することが目的となっている。
胃がん手術におけるサルコペニア・術後の合併症問題
胃がん術後は、食事量が減少するため、体重減少・サルコペニアを発生する率が高くなっており、患者のQOLや治療の継続性にも直結する問題になっている。また、サルコペニアにより、術後の合併症が増加するケースや、化学療法による治療成績を低下させるケースがあるfことも知られている。
■サルコペニアとは？
サルコペニアとは、筋肉量が減少することで、全身の筋力低下や身体機能の低下が起こる現象のことだ。歩行や立ち上がりが億劫となり、進行すると歩行が困難になることもあるなど、日常生活にも大きな支障が出る可能性がある。初期症状としてつまずきなどが現れるが、不注意が原因と捉えられることも多く、進行に気付くのが遅れやすいため注意が必要だ。
加齢や活動量の低下や疾患、栄養不足でも起こることがある。
がん手術における運動トレーニングの妥当性を検証する臨床試験
| 対象者 | ・胃がん手術予定の男女65歳以上80歳未満の患者 （東京大学医学部附属病院、胃・食道外科にて） |
| 検証方法 | ・対照群と試験群のランダム化比較試験 ・対照群：通常の胃がん手術を受ける。 ・試験群：胃がん手術前3週間以上と、手術後3ヶ月間の周術期の筋力トレーニング、アミノ酸摂取を行う。 |
胃がん手術の方針を決定した後に、対照群と試験群にランダムに割り付けられ、対照群は、通常通りの手術を受け、試験群は、手術の前後に運動トレーニング（トレーナーによる個別指導、参加者の体力に合わせ週2回）・補助栄養食品摂取を行って、手術などの胃がん治療では対照群と同一の内容を行う。
それぞれの「術後のサルコペニアの有無」、「治療経過」、「血液検査所見」などを解析することで、運動トレーニングの妥当性を検証する。
試験参加者の募集は2017年9月1日から開始
胃がん治療は保険診療として行われるが、それ以外の臨床試験に関しては、参加者の費用負担はない。試験参加者の募集は、2017年9月1日から開始し、既に参加者の募集は終了。試験が継続中だ（2020年8月4日時点）。
胃がん手術前後の運動によって術後の合併症の予防に期待
近年のサルコペニアの治療では、「タンパク質の摂取」や「筋肉トレーニング」の重要性が示されるようになってきており、手術前における運動・栄養介入によって、術後の合併症を軽減させる可能性も指摘されている。 そのため、今回の臨床試験によって、体重減少やサルコペニアの発生、術後の合併症を抑制する効果が上がることが期待される。
【出典】
１、https://www.h.u-tokyo.ac.jp/participants/research/rinshoukenkyu/seika/20170807-1.html
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