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テニスのラケットなどを使ってスポーツをすると、上腕の腱に過度の負荷がかかって炎症が生じるケースがあるが、このような病態は、「上腕骨外側上顆炎(テニス肘)」とされる。
このテニス肘は、スポーツだけでなく、仕事などで手や手首を日常的に使う人は、発症する可能性があり、アメリカでは、「テニス肘」と診断される患者が、年間約20万人に上っているとされる。
今回、米ハーバード大学医学大学院の研究チームによって、テニス肘の保存的治療法(ステロイドの局所注射や理学療法など)の効果を検証した結果、その効果はいずれも限定的なもので、プラセボの効果を大きくは上回らない可能性があることが示された。
研究の詳細は、「American Journal of Sports Medicine」(10月31日電子版)に掲載された。
「テニス肘」の治療には、侵襲的で患者の身体への負担が大きい手術以外にも、多くの保存的治療※が行われている。
※ステロイドの局所注射や理学療法、鍼治療、消炎鎮痛薬、ボツリヌス毒素の注射、超音波やレーザー治療など
同研究チームは、今回、36件のプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT、計2,746人の成人男女が参加、11種類の治療法(手術を除外)の有効性を検証したもの)を対象にしたメタ解析を実施。
治療開始から「4週後」、「5週後〜26週後」、「26週後以降」におけるそれぞれの治療の疼痛、握力に対する有効性を検証した。
検証の結果からは、「4週間以内」の短期間では、ステロイドの局所注射のみ、プラセボを上回る効果をわずかに確認。(その後の期間に有効性の差は消失)
「5週後〜26週後」の期間は、レーザー治療・ボツリヌス毒素の注射を受けた患者で、わずかに統計学的に有意な疼痛の軽減を確認した。
「26週以降」では、体外衝撃波治療を受けた患者でのみ、長期的なベネフィットが得られることを確認した。
握力の改善では、レーザー治療のみがプラセボを上まわる効果がみられた。
一方で、プラセボを使用した患者と比較して、実際の治療を受けた患者では副作用の発現頻度が高まっていたことも明らかになった。
また、「26週後以降」はプラセボ使用患者の99%で疼痛がほとんど、あるいは完全に消失していた。
今回の研究結果から、同研究チームでは、個々の患者の状態に応じて鎮痛薬を処方してもよいが、その使用期間は4週間以内にとどめる方が良いと指摘。
また、ほとんどの患者でテニス肘に伴う痛みの多くは自然に軽快することが示唆されるため、全般的に経過観察が推奨されるとしている。
しかし、「テニス肘」の患者は全て治癒するわけではなく、5%は最終的に手術を要するとの指摘もあるため、治療法の決定には考慮が必要だ。
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