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お正月では、食事の中にはお餅(もち)を食べる家庭も多かっただろう。
しかし、高齢者がお餅を喉に詰まらせてしまうと、最悪の場合、死亡事故に至ってしまうこともあるので、お餅を食べる時には注意が必要になる。
どんな食べ物でも「誤嚥(ごえん)」が起きる可能性はあるが、特に粘り気がある「お餅」は気管を完全に塞いでしまい、窒息状態になるなど深刻な事故にもつながりやすい。
「食べる」という行為は、「噛んだ食べ物を舌で喉に送る」、「喉が収縮し、喉仏が上がる」、「気管の入り口が閉じ、食べ物が食道を通る」という一連の動作になるのだが、筋力が弱まっている高齢者は、このタイミングがずれたりして、食べ物が気管に入ってしまうのだ。
このような高齢者の誤嚥事故防止のためには、「口腔(こうくう)ケア」を行える人材も貴重になっている。
厚生労働省では、高齢者の口のケア(口腔ケア)をできる人材を増やすために、2018年度から新たな研修制度を創設する。
歯科医師・歯科衛生士のようなスペシャリストがいない病院や介護現場などでも、専門的な口腔ケアができる看護師や介護スタッフを育てるのが狙いだ。
口腔ケアスタッフが、高齢者が人生の最期まで「口から食べる」ことを支援し、誤嚥性肺炎を減らすことにつなげる。
同省では来年度、この研修制度に約1億円を充てる方針で、同制度を実施する自治体には「経費の半額」を補助するという。
同省によると、歯科の診療科がある病院は全国で2割程度(2014年時点)。歯科医師・歯科衛生士の介護施設などへの訪問ニーズが高まっている一方で、口腔ケアの供給が追い付いていないのが現状だ。
そのため、今回の研修制度の創設によって、このようなニーズのある施設で適切な口腔ケアができるケースを増やしていく。
高齢者の誤嚥性肺炎の原因になるのが、口腔内の多数の常在菌。その菌が唾液にまじって気管内に入ってしまうのだ。要介護者への口腔ケアによって、このような肺炎の発症を抑制できることが分かっている。
また、歯科医師らの専門的な口腔ケアを受けた患者と一般的なケアを受けた患者を比較した研究では、専門的な口腔ケアを受けた患者では10~20%程度、入院日数が短く、口腔ケアが入院期間を短縮させるという報告もあった。
新たな研修制度では、高齢者が食事や会話を続けられるように、口の周囲の筋肉を鍛えるなどの基本的な口腔ケアや、病気ごとに口腔ケアをする際の注意点を伝えることも想定する。
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